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2 淫剤・ヨネカワ 【1】

2 淫剤・ヨネカワ


「アナルもするから! ねえ、ここから降ろして!」

梅川に鎖を引かれた彩翔に続いて優羽も地下室へ降りていく。木谷美織の声だ。

「アナルもするから! もういやって言わないから! ここから降ろしてよ!」

荒縄を揺らして天井の梁を軋ませながら美織は、空中で尻を突き出した。梅川は壁に掛かっていた一本鞭を取ると、美織の尻をいきなり打った。

「ううううっ、痛いっ!」

吠えるように叫んで身悶えた美織が空中で大きく揺れた。丸めた爪先が脹脛を隠微に引き締める。

梅川はさらに二度、ビシッ、ビシッと間隔を置いて美織の尻に鞭を入れた。

「痛いっ! 痛いっ!」

美織の叫び声が地下礼拝室に響く。鞭で打たれて朱を深めた美織の尻は、硬直と弛緩を何度も繰り返していた。

よれよれの甚平を脱いで裸になったトキタが礼拝室に入ってきた。彩翔をつないでいる鎖を梅川はトキタに渡す。トキタは、鎖と引き換えるように小さな瓶を梅川に渡し、一礼して梅川の腰のバスタオルを外した。二人の男の勃起した肉塊が、地下礼拝室の薄闇に暗く溶け込む。

「わたしはね、今日で一週間、この女を調教しているのです」

背中を向けて激しく揺れる美織の縄を掴んだ梅川は、美織の顔をこちら側に向けた。美織の髪は汗に濡れて、顔のほとんど覆い隠していた。

「協会から排斥された人間は、聖霊の導きを奪われて霊的な闇のなかを歩みます。伊丹兄弟も知っている通り、悪魔サタンの手に渡されるからです。でもね、わたしはこうして愛をもって、この女を扱っているのです。木谷美織を助けるために」

顔をあげてヘラヘラと笑った美織は、突然、目を大きく見開いて振り絞るように叫んだ。

「誰でもいいから、早くやってよ! ねえ、早く、オマ×コやって! オマ×コ! 早く!」

(これが、あの木谷美織……)

研究者らしい理知的な顔を柔らかな微笑で飾ったあの美織は、ここにはいない。あの木谷美織がここまで変わってしまうとは、優羽には信じられない思いだった。美織の表情に恥の残滓を探して、優羽はその鼻梁を凝視した。 

「アダムの肋骨から女は創造されたゆえに、男の身体から快楽を得ることを知ってしまった女は脆いのですよ、伊丹兄弟。もし、女に快楽を与えたその男が悪魔サタンの手先であったらなら、その女はどこまでも果てしなく深い闇のなかを歩んでいかなければならなくなります」

梅川が鞭の柄で美織の股間を深くえぐる。美織のばっくりと割れた陰唇は、悶えるように蠢めき、鞭の柄に絡みついた。溢れ出した牝汁がピチャピチャと音を立てる。

「だから、伊丹兄弟にもお願いします。わたしの模範に倣ってください。木谷美織を助けてやってください。わたしたち聖なるアニマの兄弟たちは、悪魔サタンの誘惑を退けられずに悪魔サタンに与えられた快楽の虜になっている愚かな女たちを救い出す義務があるのです。わたしたちが彼女に与える真の悦び、光の悦びによって、木谷美織を悪魔サタンの手から救い出すのです」

講演でも終えたかのように尊大な態度で梅川が言葉を締めくくると、トキタが優羽に近づき、制服のスラックスのベルトを外した。そしてトキタは、制服のスラックスを降ろしてブリーフをずらし、優羽の陰茎を引っ張り出した。

優羽は上方を向いて逞しく起立する男根の包皮を下ろして、艶やかに濡れた亀頭を剥き出しにした。

「おっきいオチ×ポ! ああっ……それ、それ欲しい! 欲しい!」

梅川が小瓶の蓋を開けた。

「ああっ……それも! それも欲しい!」

美織は、身悶えながら股間を小刻みに震わせた。

梅川は、美織の陰唇を開いて小瓶をあてがい、指先で膣に押し込んだ。すぐに美織の膣口から、トロトロとした濃い白濁汁が床にぼたぼたと垂れるほど溢れ出した。

「これは、我々が『ヨネカワ』と呼んでいるモノです」

振り向いた梅川は優羽にそう告げると、美織の前から外れて優羽に場所を譲った。いぶかしげな表情を梅川に向けて、優羽が美織の前に立つ。

ヨネカワという通称は、アニマ聖書冊子協会のある女性信者の名前が由来になっていた。「精液を地に流してはならない」という律法を厳格に解釈していた(コンドームの使用さえ律法に違反すると考えていた)彼女が、協会の創薬研究所で開発した避妊薬――それがヨネカワだった。

受精卵となった卵子は別の精子を受付けない。ヨネカワはこの性質を利用したものだった。まず、最初に短時間で擬似精子を卵子と受精させる。だから、その後にいくら膣内で射精が行われても妊娠はしない。そして疑似精子と受精した卵子は、数時間後に疑似精子に仕組まれたDNAにより死滅する。

(でも、ヨネカワの研究は、完成する前に凍結されたと聞いていたけど……)

ヨネカワの研究は、(疑似精子とはいえ)精子と卵子が受精した時点で命が誕生したとする協会の教義がネックになって凍結された。特に、受精後の卵子を破壊するのは人殺しにあたると。これは後に、ヒトES細胞の使用を理由にフクシマウイルスワクチンの接種を拒否する論理の原点にもなっていた。

梅川はトキタの傍に行き、彩翔の鎖を再び手にした。そして、トキタに「美織を降ろしなさい」と命じた。

トキタは、美織の両膝を括っていた縄を外し、背中に付けられていた荒縄を弛めて床に降ろした。馬の手綱を操るようにトキタが軽く縄を引く。

後ろ手に縛られたままの美織はひざ立ちで起き上がり、少しも我慢できないと言わんばかりにノーハンドで、亀傘を広げた優羽のペニスに喰らいついた。

「うまいか?」

トキタが嘲るように美織に聞いた。

淫蕩の滲む女の眉根をしかめた美織は、鈴口に差し込むように小刻みに舌でピチャピチャと舐めまわしてはキュキュッと音を立てて、優羽のカウパーを啜った。

「キンタマも好きだろ、美織?」

下卑た笑みを浮かべてそう言ったトキタは、優羽のスラックスとブリーフを祭壇に向かって放った。

美織は、陰茎から陰嚢へと舌を這わせながら唇を降ろした。そして、睾丸を口に含んで引き伸ばし、優羽の若い陰嚢を舐めほどく。


(つづく)


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