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3 聖少女の股ぐら 【2】

優羽の配信をそれ以上見続けることができなかった彩翔は、ノートパソコンを閉じると、手に持っていたボールペンの臭いを嗅いだ。

「ああああああッ……」

静まり返った部屋に、低く唸るような女の声が微かに聞こえた。

「おい、豚!」

男の怒鳴り声も聞こえる。

ボールペンをデスクに置いた彩翔は、ショーツを履き直した。衣服を整えながら昂ぶる呼吸を抑え、彩翔は部屋を出た。声は、廊下の端にある、地下へ降りる階段付近から漏れていた。

梅川の屋敷は、古い教会を改装して造られていた。この建物には地下に礼拝室があり、使徒会議のメンバーが合同で行なう楽園実験の場所にもなっていた。

廊下の壁には、旧約聖書を題材にしたマルク・シャガールのエッチングが二列になって飾られていた。「人類の創出」から始まるエッチングは、「紅海の道」で廊下の突きあたりに達し、「モーセの姉ミリアムの踊り」から先は地下礼拝室へ降りる階段に沿って斜めに連なっていた。シャガールのこのエッチングは、鮮烈な色使いの油絵と違い、色数の少ないシンプルなものだった。黄色の使い方が印象的で、暗い廊下にその色調を重く溶け込ませていた。

彩翔は足音を忍ばせて階段を降りると、礼拝室を覗き込んだ。

礼拝室は、建物の壁面に掘られたドライエリアから外光を取り入れたステンドグラスの光と、打ちっ放しの荒れたコンクリートの壁に埋め込まれた白色の間接照明に照らされていた。カタカタと不穏な音を立てて換気扇が回っている。配管が剥き出しになった天井の梁からは荒縄やチェーンが垂れていた。

ステンドグラスの前には祭壇が備えられ、後手に縛られてひざまずいた女が、男の股間に顔を埋めていた。――二人とも裸だった。

男は、梅川の使用人のトキタだ。年齢が六十近いトキタの縮れた白髪は、すでに頭頂部まで後退していた。身長は百六十㎝に届かないトキタだが、体重は九十㎏に近い。

「どうだ、俺のチ×ポはうまいか?」

醜く膨らんだ下腹部を突き出し、ニタニタ笑いながらトキタが言った。

女は、柔らかく編みこんだハーフアップの栗毛がよく似合う、愛らしい童顔の美人だった。顔の輪郭は細身なのに、不思議なぐらいふっくらと丸みを帯びた印象を与える。

「……おいしいです」

女には、相手の問いかけに対して少しだけ間を置いて話す癖があった。男に答えるときもそんな癖が出ていた。

「美織! おまえ、研究所の所長さんともオマ×コやってたんだってな?」

(美織って、やはり彼女は、木谷姉妹……。なぜ彼女が……。まさかあれが見つかって、それで、ここへ連れてこられたの?)

トキタは美織の髪を掴むと、自らのペニスで何度も女の喉を淫虐した。

「あの所長さんには、女房も子供もいるだろ。それを知ってて、おまえはあの男を誑し込んだんだな?」

トキタは、陰茎の付け根が美織の唇に触れるまで深く喉の奥に突っ込んだ。

「ううううう……」

裸体を震わせながら、美織が呻く。

「所長さん以外にも、あのアメリカ人の博士ともヤッたんだろ、なァ? おまえが博士号もらえたのは、偉い先生なら誰にでもオマ×コやらせるからだって、もっぱらの評判だぞ」

木谷美織は、アニマ聖書冊子協会の化学研究施設で働く研究者だった。二十六歳で生物工学の博士号を取得し、遺伝子操作による農作物の生産に関する研究では、多額の特許料を教団にもたらす大きな成果を上げていた。

美織の研究は一般にも広く報道され、マスコミから「リケジョの星」と呼ばれた彼女は、アニマの信者のみならず世間でもよく知られた存在だった。

トキタは、美織を股間から引き放した。亀頭を剥き出しにした牡竿は、上方を向いて逞しく起立している。

「なァ、おまえ。お偉い先生方のチ×ポをよ、いったい何本オマ×コで咥え込んだんだ?」

「……ぉごッ、ぉごッ……ぅぉごッ……わ、わかりません……」

嘔吐きながら美織は答えた。

トキタは大げさな身振りで腕を広げ、美織を嘲った。

「わかんないぐらい、たくさん入れちゃったのか?」

馬鹿にしたようなトキタの言葉に、止まらない嘔吐きのまま鼻梁を引き攣らせ、涙目で美織は訴えた。

「……ちがいます……ぉごッ……ちがいます……」

「何本だ?」

「……五本……五本です」

「嘘つくな、こら! おまえみたいな淫乱女が五本なわけないだろ、もっと入れてんだろ? 本当のこと答えろ!」

「入れてません……はぁ……はぁ……五本です、五本です……」

切れ長の眼に涙を浮かべながら追いすがるように言い訳する女の黒髪を掴んで、トキタは厳しく叱りつけた。

「覚えてないぐらい、たくさんのチ×ポをクソマ×コ突っ込んだんだろうが! 正直に言えよ、豚!」

鼻梁を引きつらせた美織は、ついに破廉恥な告白をする。

「……ああッ、ごめんなさい……覚えてないぐらいたくさんです……覚えてないぐらいたくさんのオチン×ンをオマ×コに入れました……」

トキタは、コンクリートの床に美織を押し倒して股間を手荒く開いた。近くに置いてあったスマートフォンを取り、美織の股間に近づけてシャッターを切った。

「おまえは恥さらしな女なんだよ、わかるか?」

美織は目を逸らすと横を向いて首を振った。

「これを、ツイッターにアップしてやるからな」

「や、止めてください」

美織は身体を起こしてトキタにすがったが、後手に縛られていてはどうにもならない。トキタはスマホの操作を止めなかった。スマホの画面を見ながらトキタがニタニタと笑う。

「さっそくコメントがあったぞ。――誰? この女。顔の画像もアップしてくれ、か……。あの画像が、おまえみたいな有名な女のオマ×コ写真だと知ったら、ツイートを見た奴らは驚くだろうな。あっという間に拡散されて、大ニュースだ。トレンド入りは確実だな」

トキタは美織の髪を掴むと、顔をアップで画像に収めた。さらに、美織を床に転がし、足で裸体を嬲りながら何度もシャッターを切る。

「さて、これをアップしてみるか」

「どうか、そ、それだけは止めてください。なんでもしますから! なんでもしますから……」

誰とも知らない不特定多数の人間に股間はさらされたのだ。このうえ顔までさらされたら、もう取り返しがつかない。

(こんなこと、止めさせないと)

彩翔は、思わず立ち上がった。すると、階段の上から男の声がした。

「覗き見はいけませんね、里見姉妹」

振り向くと、梅川洋二が立っていた。

「あなたも礼拝室に入りなさい。話があります」


(つづく)


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