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プロローグ 【3】

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「血清?」

「血清からは、赤血球・白血球・血小板・血漿が取り除かれているんだ。アニマが拒否しているのは血液といってもその四つの成分だから、血清から作られたワクチンだとアルブミン血液製剤と同じで拒否の対象にならない」

血を食べてはならない――。聖書にあるこの言葉から輸血拒否を教義としているアニマ聖書冊子協会は、輸血を拒否するだけでなく、血液を自分の体内に入れることのすべてを忌避していた。

ただし、教団が忌避の対象とする血液は、「赤血球・白血球・血小板・血漿」という四つの成分に限定されていた。例えば、赤血球を使用した血液製剤の使用は認められないが、ヘモグロビンを使用した血液製剤の投与は認められる(赤血球の成分の98%はヘモグロビンなのだが)。

この珍妙とも思える教義は、教団創始者のシン・ニコルが重度の熱傷を負ったときの手術で、血液のタンパク成分(アルブミン)から作られた血液製剤が使用されたことがマスコミにリークされたことに端を発していた。このとき教団としては「特定の血液製剤は血液ではない」と、強弁する必要が生じてしまったのだ。

異物の抽送に合わせて昂ぶる肛門の灼熱感に、未成熟な裸身をくねらせながら、ららがつぶやく。

「ちょっとだけ赤血球を混ぜちゃうってわけにいかない、ワクチンに? ちょっとでも混ざっていれば、アニマは拒否の対象にするでしょう?」

ららの答えに、俊英が小さく笑った。

「それでね、ケファライアは、この物語にヒトES細胞の話を組み合わせてはどうかって……」

アナルに感じているペニスの動きがさらに速くなった。

「ああん……だめ……」

「だめ?」

俊英のペニスの動きが止まった。

「ううん……そうじゃなくて……わたしも欲しい……」

腰の動きを止めた俊英を促すようにららは尻を軽く振ると、俊英の手に触れて、半勃ちになったペニスへの刺激を求めた。

「ヒトES細胞って受精した卵子を使うだろう、らら?」

左手でららの頬を撫でながら微笑みかけた俊英は、再びゆっくりと腰を動かしながら、包皮で亀頭を擦るようにららのペニスをしごいた。

「受精した卵子はすでに生命だっていうのがアニマの考えだから、ヒトES細胞で作ったワクチンは人を殺して作ったワクチンということになる。だからアニマからすれば、ワクチンの接種を拒否する理由になるんだ」


(つづく)



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